キンカンのブログ

気が向いたら書いています。

2024/2/29

「LAMB」と「ホームアローン」を見た。Youtubeで暇つぶすのもいいけど、映画のほうがなんか罪悪感ないんだよね。なんでだろ。何か映画のほうが教訓とか受け取ろうとしてみてるからかな。まあいいや。あ、ネタバレあるかもしれないから注意。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「LAMB」の感想としては、序盤中盤の雰囲気がとても好きだったな。あと服着た羊かわいい。あれがかわいく見せることができたのがあの映画のすごくいいところだと思う。禁忌に対する忌避感だとか恐怖感を感じてもらう映画だと思って身構えてたけど、そっちに寄り切らずにあの女性目線での世界も盛り込まれている感じが一様に決めきれないところを生んでいたと思う。まあバランスとってたのかな。見ている側はすでにえげつない禁忌の様相を見たくて、ハッハハッハと鼻息荒くして待ち構えてるから、そこで提供する側が予想通りに「めちゃ気持ち悪いもの」を出したら、そのめちゃ気持ち悪いもんをそのまま受け入れて育てる母親の異常さだとか、狂気みたいなものばかり引き立ってしまう。「怖いもん見せてぇ~?」「ほうら怖がれほら!ほらほらぁ!」「わぁー怖ぁーいっ!すっごい怖ーい!」って、そうなるのをを避けたのかな。全体的に禁忌を受け入れることを、いかに自然にするかみたいなことが根底にあった気がする、とおもう。だからこそ、唐突に見せた女性の狂気の片鱗みたいな大声で「来るな」が、すごく心に来たんじゃないかと思う。わかんないけど。元ネタにも詳しくないし。

 自分の貧弱な過去の読書経験から話すのは心苦しいけど、「砂の女」に似たところがある気がした。本来ならありえない、受け入れがたい状況を幸せのために受け入れる女性の姿の生々しい描写が想起させたのかな。だから、あの夫の弟はありえない状況に「ありえない」と言うためだけの役だったんじゃないかな。「砂の女」だったら主人公が「ありえない」と言ってたけど、この作品だと夫はもう「妻が受け入れるなら」と完全に受け入れてたっぽいし。だから「おかしいやろ」っていうだけ言って、言い終わったら兄の妻にちょっかいだしつつ退場させられたわけだ。正直ラストについてはなんも言えない。多分、序盤中盤のじっとりしたサスペンスホラーの雰囲気で、「もう十分エンタメとしては…もう、いいっしょ?」みたいな感じで、あとは表現するうえで欠くことができないが、ストーリーとしては面白みに欠ける部分を「ずぼっ」とラストに持ってきた感じ。いや、順序が逆か。「まあ俺たちが言いたいのは、こういうことなんすよ。」ということがまずあって、それを見せるために序盤中盤のハラハラと気味悪さという餌をまいたのかもね。本編中ずっと湿度の高い、それでいて大きな事件も少ない陰湿な時間が多かったから、夫婦と夫の弟が三人でスポーツ観戦して、その後で弟が若いころに録ったミュージックビデオをやめてくれといいつつ見る、しまいには踊るというシーンはすごくコミカルに見えて笑っちゃった。ずーっと地味な味のシャーベットばっか食わされてうんざりしたところに急にポテトチップスがでてきたみたいで嬉しかった。

 

 

ホームアローン」は、とことん映画を作るプロの仕事って感じがしてみてて感心した。安心感のあるストーリーラインに、随所にちりばめられたクスクス笑えるようなネタ。どぎついものはなく、どれも子供から大人まで楽しめるものばかりだ。どこどこまでも見た人を楽しませる気概に満ち溢れていた。当然ラストもすっきりおわった。というかむしろ最初は登場人物全員カスだなと思ってたくらいだし。母親はまだいいけど。主人公も故意ではないとはいえ万引きしてるし。泥棒を撃退って、お前もやんけ!ってなってたし。でもそれがみーんな終わって、アイリスアウト的な、大団円の終わり方は家族で見るのにちょうどって感じだ。良くも悪くも「LAMB」とは対照的な作品だった。

どちらも良い作品だった。